第2ターム 〜 ヨコからタテへ
電脳空間と化したクランクシティーでは、ほとんどの住民がパイプの壁面で高層マンションのような暮らし方を選んでいます。フラットで広大土壌を横に駆け抜ける生活は意味をなくし、電脳空間の地平を駆け抜け、リアルではエレベーターを多様します。(降下の際はGを活用するので、そのほうが経済的なのです。)
地底では、クランクシティーより送られた二人目のモニター諜報工作員が、ある大きな国家で拷問され貼り付けにされ、処刑されました。このことを切っ掛けに、以前からクランクシティー内で高まっていた国策批判の気運が爆発します。インターネット上でプロバイダーテロが多発し、クランクシティー内の各地でサーバーがダウンします。その際、クランクシティー政府はこの国賊の破壊活動に便乗し、情報を遮断することで、情報統制を図るのでした。つまり、サーバーダウンを暴徒によるものとし、活かさず殺さずのテロ対策で各地で情報断絶を工作し、情報を独占するのでした。結果、情報を所有する地底側パイプの壁面(ローランド)の住民と、情報を規制されて占領国となった地上側パイプの壁面(ハイランド)の住民とで、クランクシティーは二分されます。
これまで極力サイバー上の無血戦争を続けていた地上人も、このころになるとリアルな戦争で血を流し合うようになりました。これは地底で行われているリアル戦争の影響が大きいようです。そして戦場となったのはローランドとハイランドの間、つまり地下世界の天井裏のフラットな領域でした。荒廃した1000万年前の建造物の残るゴーストタウンで、ローランドはハイランドの長期的な攻撃に耐えながら、地下の奥底にこの地球の全情報を集約するサーバーを建造します。1つのマザーに加え、壁面の迷路のような街に分散されレイドシステムにより繋がった6つのサーバーによるこのストレージは、世界図書館と名付けられました。
クランクシティー内の空気汚染を切っ掛けに、両国家が和解します。しかし、ローランドの本心は、ハイランドで開発が進められていた宇宙有人飛行の施設の所有でした。ローランド政府はハイランドに対して、情報の全面開示と多額の賠償金を支払う代わりに、ハイランドの宇宙センターを買収しました。
このころ地上(地表)では異常気象が多発し、植物・動物の50%の種が絶命しています。(もちろん全人類はとっくにクランクシティーへ引越しています。)
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