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2010年3月22日 (月)

第2ターム 〜 ヨコからタテへ

 電脳空間と化したクランクシティーでは、ほとんどの住民がパイプの壁面で高層マンションのような暮らし方を選んでいます。フラットで広大土壌を横に駆け抜ける生活は意味をなくし、電脳空間の地平を駆け抜け、リアルではエレベーターを多様します。(降下の際はGを活用するので、そのほうが経済的なのです。)

 地底では、クランクシティーより送られた二人目のモニター諜報工作員が、ある大きな国家で拷問され貼り付けにされ、処刑されました。このことを切っ掛けに、以前からクランクシティー内で高まっていた国策批判の気運が爆発します。インターネット上でプロバイダーテロが多発し、クランクシティー内の各地でサーバーがダウンします。その際、クランクシティー政府はこの国賊の破壊活動に便乗し、情報を遮断することで、情報統制を図るのでした。つまり、サーバーダウンを暴徒によるものとし、活かさず殺さずのテロ対策で各地で情報断絶を工作し、情報を独占するのでした。結果、情報を所有する地底側パイプの壁面(ローランド)の住民と、情報を規制されて占領国となった地上側パイプの壁面(ハイランド)の住民とで、クランクシティーは二分されます。

 これまで極力サイバー上の無血戦争を続けていた地上人も、このころになるとリアルな戦争で血を流し合うようになりました。これは地底で行われているリアル戦争の影響が大きいようです。そして戦場となったのはローランドとハイランドの間、つまり地下世界の天井裏のフラットな領域でした。荒廃した1000万年前の建造物の残るゴーストタウンで、ローランドはハイランドの長期的な攻撃に耐えながら、地下の奥底にこの地球の全情報を集約するサーバーを建造します。1つのマザーに加え、壁面の迷路のような街に分散されレイドシステムにより繋がった6つのサーバーによるこのストレージは、世界図書館と名付けられました。

 クランクシティー内の空気汚染を切っ掛けに、両国家が和解します。しかし、ローランドの本心は、ハイランドで開発が進められていた宇宙有人飛行の施設の所有でした。ローランド政府はハイランドに対して、情報の全面開示と多額の賠償金を支払う代わりに、ハイランドの宇宙センターを買収しました。

 このころ地上(地表)では異常気象が多発し、植物・動物の50%の種が絶命しています。(もちろん全人類はとっくにクランクシティーへ引越しています。)


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2010年3月19日 (金)

第2ターム 〜 曲線から直線へ

地下世界の中で、産業を築く人種を紹介しましたが、その人種が生んだ産業は、現代の産業革命が蒸気機関の発明であったように、やはり新動力の発明によってもたらされました。さらにその新動力はワールプールの円環エネルギーを直進エネルギーに変換する技術がもたらしたものでした。そして彼らはその動力機関から地下の交通機関をつくり、技術を独占し、経済的イニシアチブを取るのでした。

 彼らのこの発明は、発明に至る「発見」の為の努力もさることながら、彼らの美意識の変化も起因しています。つまり、美的・精神的価値感が、曲線から直線へ変わったこと。(抽象的ですいません)そして、その美意識の変化に大きく影響を与えた少数民族がいたのでした。その少数民族は、緩やかな反り(そり)を持つ直線の武器を携え、その武器を精神の支柱、拠り所としていたのです。
   
 その少数民族の精神は、波のように漂うようなものではなく、ナギの海のように凛としたもの。丸く包み込むようなものでなく、張りつめたもの。物質的価値で世界を牛耳る民族に影響を与えたのは、皮肉にも、質素さを究極の価値観とする少数民族(の美意識)なのでした。

 ちなみにこの地下の社会情勢を傍観するクランクシティーでは、その少数民族のエンブレムの類似性から、かつての地下ペンギン討伐隊の行方不明者との関連性を唱える人らのCGMサイトが多数たちあがるのでした。つまり、彼らの祖先は地上人なのではないかという説です。参照「第2ターム 〜 全滅そして」(2009年9月15日 )
http://osdesign.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2009/09/15/0212.jpg

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2010年3月14日 (日)

第2ターム 〜 地下文化人類レポ

頭に地上への中継機能を組み込まれ、地下に召還された地底人は一人で小型偵察機&諜報部隊の役割をこなします。あらゆるメディアを調べ、時には実際に地下世界の重鎮と会見し、その情報をダイレクトに地上の人に配信します。

地下には、深い思惟に浸り瞑想を好む人種、自然に柔軟に対応し遊牧する人種、ローマ帝国のように国家を築く人種、産業を築く人種と、4つに大別される。地上のようにグローバルではないが、奇妙なことに
着物の文様が円だったり、「流転」することを美意識に持つ、という統一性が見られる。ただしいくつかの少数民族には例外もあるようです。

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第2ターム 〜 ワールプール

超小型偵察機と諜報部隊の情報をこの数千万年でまとめると、地底の地理気候は以下のような状態。
地下には、地底から天井までの距離の約5%の辺りに、地上と同じ空気の層があります。
空気の層の上にあるメタンの層の中の発光バクテリアが、密集と拡散を交互に繰り返し、昼の時間と夜の時間を作っています。その周期は地上の1日と同じです。
地下の世界は、地上と同じように空があり、雲が浮き、海があります。ところが、海の様子は地上と異なります。海水面には常に水蒸気が立ちこめ、ドライアイスでつくったような雲が常に発生しています。

これは何でしょうか。
これは、地下のボコボコの地形のせいのようです。
ほぼ均等な円形の島が近接し、密集し、地図をみるとそれがビッシリと壁紙模様のように
地図全体をおおっている、そんな地形の世界を想像して下さい。それが地下の地理です。

そしてその島と島の間にできる海流は、島を中心に環状に流れ、
現代のナイアガラの滝には、常に渦巻きが生じているそうですが、そのような渦巻きが地底のボコボコした地下の海で生じています。詳しくはわからないのですが、集積する渦巻きに地球の自転の作用が影響し、暖流と寒流が交互に円環の渦を作り、陸地のまわりを廻るワールプールを作っています。

この渦が生命の繁殖に大きく影響しているようです。
地上に人類が発生したのは地上より20000年遅かったのに
この時すでに地上と同じかやや多いくらいの人口に達していました。
人類の繁殖のズピードが、地上よりも早いようです。

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